私は現在４６歳で専業主婦をしていますが、実は私、バツ１なんです。

私が初めて結婚したのは２５歳の時です。
当時働いていた職場の同期でとても好みの人が居たので、私は彼に猛烈アタックをし晴れて付合う事ができました。
交際して２年で結婚し、私は２７歳の時に寿退社。
順風満帆な人生でした。

しかし結婚してすぐに問題が生じ始めました。
それは私が旦那との夜の営みをどうしてもする事ができなかったからです。

実はこれには深い訳があります。
私が小学４年生の時に、当時の担任の先生に身体を触られる等の悪戯を長期的に受けていた事が有りました。
私は怖くて怖くて、何も言えずされるがままに悪戯を受けていたのですが、そのうち私はご飯が食べられなくなり、熱も無いのに吐くようになりました。
私の両親も直ぐに私の異変に気がつき、私は何が有ったのかと問いただされそれまでの出来事をやっと親に話す事ができました。
事件は世間に公にはされなかったものの、その教師は教員免許を取り上げられすぐに学校から姿を消しました。

それから私は嫌な事から解放されたのですが、自分が大人になり、いざ恋人と関係を持とうとすると当時の事が頭をよぎり、どうしても関係を持つ事ができなかったのです。
彼と付合っている時は『結婚するまでまって欲しいと』伝え、行為からは逃げる事ができていたのですが、結婚後そういう訳にはいかず、意を決して数回程試みてみたものの、いずれも私が拒絶反応を起こしてしまい結局結婚しても関係は一度ももった事はありませんでした。
私はそれでも全然幸せでしたが、きっと彼は幸せではなかったのだと思います。

結婚１０年目のある日、その日は突然訪れました。

彼に、『今日は話したい事があるんだ』と切り出されたのです。

私は何の事かさっぱり解りませんでしたが、彼の表情が普段とは違う事だけは解り何か嫌な予感がしていました。

そして彼は口を開き一言、『離婚してほしい』と言ったのです。
１０年も一緒に生活してきた相手です、子供は居ませんでしたが、私たちは仲が良かったですし、急に離婚してほしいと言われても、直ぐには受け入れる事はできませんでした。
彼に理由を聞くと、彼は口を濁しました。
そして『俺が全部悪いから。俺のせいだから。慰謝料はちゃんと払う。だから離婚してほしいんだ。』と言ってその後は何も言わなくなってしまいました。

離婚の話を切り出された時に、私はすぐに自分が彼との夜の営みを拒んできた事が原因だと思いました。
勿論私だって彼との子供が欲しかったですし、このままじゃいけないと思っていました。
でも、どうしても当時のトラウマが邪魔をして行為を行う事ができなかったのです。

その日から彼は家に帰ってこなくなりました。
私が彼に何度か電話をしても連絡がつきません。
彼からは時折連絡がきましたが、そこには『離婚してほしい。本当に申し訳ない。』とだけ書かれたメールが届くのみでした。

私は探偵を雇い、彼の身の回りの事を調べてもらう事にしました。

すると、彼には２０代の女性の浮気相手がいる事がわかりました。
相手は、若くて綺麗で、私なんかよりもずっと素敵な女性でした。
提出された書類には、彼女の写真だけでなく、ラブホテルから出てくるところの写真も有りました。
その写真を見た時に、やはり、自分が性行為をする事ができない事が一番の原因だと改めて思いました。

そして色々考えました。
最初は彼が浮気している事に対して強い怒りを感じていました。
しかし、彼が帰ってこない間私は少しずつ考えが変わってきました。
この先、彼と一緒にいても、きっとこの先も私は彼と性行為を行う事はできない。そして当然子供を産んであげる事もできない。
それは、彼にとって辛いだけの毎日なのでは無いだろうか。
彼は確かに浮気をしているけれど、もし私が人並みに性行為を行う事ができたなら彼は浮気をしていなかったのではないか。とそう思うようになりました。
私は彼が大好きでしたし、離婚するのは本当に嫌だったけれど、私と一緒に居ても彼は一生幸せにはなれない、そう思った時に、私は彼と離婚するべきだと感じました。

彼に離婚する決意ができた旨をメールで伝えると、『今日離婚届をもって家に帰る』と直ぐに返事がきました。
その日の夜18時くらいです、一ヶ月ぶりに彼が家に帰ってきました。
彼はとても痩せ、とても疲れているようでした。
きっと彼もこの一ヶ月、私と同じように色々考えてくれていたんだと感じました。

そして既に彼の名前が記入された離婚届を渡され、私もサインしました。

彼は『10年間、俺と一緒に過ごしてくれて本当に有難う。そしてこんな事になってしまい本当にすまなかった。』と涙を零しながら謝罪してくれました。

そして、分厚い封筒を渡されました。

『この中には300万円入っている。足りないかもしれないが、これを慰謝料として受け取ってほしい。』と言われました。

私は離婚をする決意はしていましたが、慰謝料の事など何も考えていなかった為、急にお金を渡されて戸惑いましたが、離婚すると決めた以上このお金はこれからの生活の為に必要な為、有り難くもらう事にしました。

そうして私たちは、正式に離婚する事になったのです。
後の手続きは殆ど彼がやってくれました。
今まで私たちが住んでいた家には彼が住む事になった為、私がした事と言えば自分の大事な物だけを持ってただ家を出たくらいでした。

彼と離婚して3年が経ちます。
私は離婚後直ぐに派遣会社に勤めました。
縁があってこんな私でも結婚してくれるという方と巡り合い、離婚後2年目で私は再婚しました。
彼にはちゃんと私の過去の事を伝えた為、私が性行為に対して強いトラウマがある事を理解してくれたうえで再婚をしてくれました。
そして彼自身もバツ1でしたので既に子供がいた為、結婚したら子供を作らなければならないという使命も私にはなくなり、本当に心から楽になりました。

風の噂で前の旦那の話を一度だけ聞いたことがあります。
どうやら彼はあの時の浮気相手とその後結婚をし、2人の子宝にも恵まれたようです。
私達はあれから一切連絡を取り合っていませんが、恐らく私達は離婚をしてやっと本当の幸せを手に入れる事ができたのではないかと思っています。

調査員からのひとこと

子供の時のトラウマで夜の営みが出来ない・・・旦那様も可哀想ですね。
離婚するのはお互いの為に良かったと思います。
依頼者様も理解してもらえる男性が現れて本当に良かったと思います。